YouTubeやサブスクなど、近年では気軽に音楽が聴ける環境となっていますよね。
その影響によって、「CDを購入しない人」が爆発的に増えていきました。
平成初期から中期にかけては、CDの売上が収益の大きな柱であったアーティストたちは、違ったアプローチが必要となったのです。
「アーティストやアイドルはどうやって収益を生んでいるんだろう?」と気になったことがある人もいるのではないでしょうか?
この記事では、そんな「日本の音楽業界における収益化の変化」について解説していきたいと思います。
日本における音楽配信の売上は急上昇中
CD販売が主流だった時代からLINE MUSICやSpotify、Apple Musicといった音楽配信へと移り変わっていったわけですが、この10年間で配信売り上げは急激に増えています。
2022年の音楽配信売り上げは1050億円となり、なんと「9年連続」でプラス成長しているのです。
おそらくこの勢いは今後も続いていくため、2023年もさらにプラス成長し、10年連続となるのは間違いないでしょう。
しかし、CD販売全盛期と比べると、アーティスト自体は収益額を大きく落としている。
「楽曲の販売だけでは稼げない時代」となっているのです。
CDが売れていた時代は、シングルが約1,000円、アルバムが約3,000円で販売されていた。
例えばシングルの売上1,000円を考えてみると、その内訳は以下の様になる。
・レコード会社が約50%
・CDショップが約26%
・CDプレス会社が約17%
・音楽出版社が約3%
・JASRACが約1%
・作詞者が約1%
・作曲者が約1%
・アーティストが約1%
例えば、作詞作曲を自分で行っているソロアーティストであれば、1枚で30円の収益があるわけです。
これがアルバムならば90円となります。
ヒット曲を出し、100万枚売れたとすれば、シングルで3,000万、アルバムなら9,000万円の収益が出せます。
この収益と比べれば、音楽配信による収益額は大幅に少なくなっているのは間違いありません。
現代のアーティストは「フェス」や「ライブ」が大きな収益の柱となっている
・JAPAN JAM(千葉)
・VIVA LA ROCK(埼玉)
・イナズマロック フェス(滋賀)
・日比谷音楽祭(東京)
・FUJI ROCK FESTIVAL(新潟)
・スウィート ラブ シャワー(山梨)
・ROCK IN JAPAN FESTIVAL(千葉)
・RISING SUN ROCK FESTIVAL(北海道)
・SUMMER SONIC(東京・大阪)
・SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER(山梨)
・山人音楽祭(群馬)
ざっと挙げただけでもこれだけの有名フェスが日本で行われていますが、実際には中規模以上のフェスとなると毎年50以上のフェスが行われています。
毎年10以上のフェスに参加するアーティストも増えており、どのアーティストやアイドルもライブを積極的に行っています。
フェスでは「ギャランティ」による収入が見込め、ライブではチケット売上やグッズ販売売上が見込めます。
ライブでは、会場費・人件費・機材セット費といった経費が差し引かれますが、それでも人気アーティストともなれば億を超える収入を得ることができます。
サブスクやYouTube、SNS、フェスでファンを増やし、ライブで稼ぐというスタイルに
つまり、アーティストやアイドルは音楽配信を大きな収益の柱として考えてはおらず、あくまでも認知度を高めファンを増やす手段と捉えているわけです。
公式YouTubeチャンネルでMVを公開し活動の様子を動画で公開。
タイアップ曲や番組出演、フェスへの参加、SNSへの注力などによってライブ収益とグッズ収益の増加を狙っているのです。
日本では「音楽を聴かない人」が増えているゆえに、苦しい状況が続く
実はこの10年~15年ほどの間で、「音楽を聴かない人」が急増しています。
日本レコード協会が2023年3月に発表した「音楽メディアユーザー実態調査」によると、2009年は15.4%の人が「音楽に無関心」であったものが、2022年には43.8%に増加しているのです。
無関心ということは、ライブやフェスに行かないことはもちろん、サブスクサービスなども利用せず音楽番組なども観ないということとなります。
無関心層は50代以降の人に多いため、現段階では若者層をターゲットとしているアーティストやアイドルの収益は大きく減少はしていない。
しかし、この調査では、20代、30代、40代といった湧く年層も無関心層が増加しており、今後はファンの獲得がより難しくなっていく可能性が高いのです。
まとめ
今回は、「日本の音楽業界における収益化の変化」について解説してきました。
CDが売れていた時代とは違い、音源の販売だけでは稼げない時代へと変化しています。
それゆえに、いかにファンを増やしライブでチケット代やグッズ販売などで収益化するかが重要となっているのです。
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