世の中にはプロのアーティストが多く存在しますが、そのプロが作る楽曲はそれぞれ独自に制作されています。
自転車を運転している時やお風呂に入っている時などにふとメロディや歌詞が頭の中に降ってくるケースもありますし、「アップテンポな曲を作ろう」といった明らかな意図を持って少しずつ制作されることもあります。
ごく稀に歌詞とメロディが一緒に出来上がることもありますが、大抵の場合はどちらかが先に生まれ、そこに足りないものをつけ足していく流れで作られます。
歌詞から先に作るのであれば「詞先」、メロディから先に作るのであれば「曲先」といったような具合です。
プロのアーティスト(作曲家、作詞家)になりたいと思った時、「自分は詞先派なのだろうか?それとも曲先派なのだろうか?」と悩むこともあるかもしれません。
そこで、この記事ではそんな「詞先と曲先のそれぞれのメリットとデメリット」について解説していきたいと思います。
詞先でも曲先でもどちらでもOK
結論から先に言えば、「詞先で作ろうとも曲先で作ろうともどちらでもOK」です。
自分が作りやすい方を選べば良いので、「こっちの制作方法じゃなきゃ売れない」といったことはありません。
しかし、この2つの制作手順には、それぞれメリットとデメリットが存在します。
なんとなくでどちらか決めて始めてしまうと、後々苦労してしまう可能性もあるのです。
詞先のメリット
それではまず、詞先のメリットとデメリットをいくつか挙げていきましょう。
①メッセージ性のある歌詞が書けるがメロディを考えるのが難しくなる
楽曲はより深くおしゃれな言葉を紡いだ方がより楽曲を聴いているリスナーを感動させられます。
作詞を先に行うことで、いわゆる「メッセージ性の強い楽曲」を作りやすいのです。
しかし、その分メロディを考えるのには苦労します。
思いついた良いメロディラインも、歌詞に合わず変えなければならないといったケースも出てきてしまうでしょう。
②容易に作詞を完成させられるが後で変更することが多くなる
作詞をした後に曲を付ける制作方法の場合、曲の冒頭から最後までを時間を掛けずに完成させられるというメリットがあります。
制約されることなく短時間で一気に仕上げられるので、1つの物語として上手に完成させやすいのです。
しかし、結局メロディを合わせられない箇所が出てきて、後で歌詞を変更することが多くなります。
歌詞の内容や雰囲気、文字数などを考慮しながらメロディをつけていきますが、どうしてもうまくハマらない部分が出てきてしまうのです。
そのため、同じ内容の違う言葉(文字数の言葉)や発音のしやすい言葉に変えなければならないケースが出てきます。
曲先のメリットとデメリット
次に「曲先のメリットとデメリット」を挙げていきましょう。
①耳に残るキャッチャーな楽曲が作りやすいが、曲を通して歌詞に深みを出せない
特に近年は、「いかに耳に残るメロディを作るか」がヒットのカギとなっています。
サビの部分だけでも耳に残るメロディが作れれば、バズってしまうこともあるのです。
曲先の場合は、歌詞がまだない状態で作曲できるため、よりキャッチャーなメロディが作りやすいと言えるでしょう。
デメリットとしては、やはり歌詞に深みを持たせるのが難しいということでしょう。
特定の部分で良い歌詞をメロディに乗せることはできても、曲を通して心に響くような歌詞はなかなか作りにくいのが現実です。
②曲を完成させるスピードが圧倒的に速くなる
詞先で楽曲を制作するよりも、曲先で制作した方が圧倒的に完成までのスピードが速くなります。
歌詞が先にある状態でメロディを作る場合、難易度が高くなりますが、楽曲が先にできていてそこに歌詞をあてていく方が難易度が低いからです。
高校生以上になれば、知っている言葉のレパートリーも非常に多いはずです。
それゆえに、メロディに歌詞を当てはめる方がはるかに簡単なのです。
詞先のアーティストと曲先のアーティスト
実際に売れているアーティストは、どちらの方法で楽曲を制作しているのでしょうか?
割合としては、圧倒的に「曲先」となります。
なぜならば、曲先の方が制作がしやすいからです。
日本人は、母国語のレパートリーが豊富なので、上手くハマらない箇所も違う単語を使ってすぐに当てはめることが可能となります。
同じアーティストでも詞先で制作するケースと曲先で制作するケースがあるようですが、およそどちらかに偏ることが多いようです。
例えば、「aiko」や「ゲスの極み乙女。」「槇原敬之」「緑黄色社会」などは、詞先で制作することが多いようです。
これに対して、「YOASOBI」や「米津玄師」「福山雅治」「ミスチル」「スピッツ」などは曲先で制作しているようです。
しかし、「あいみょん」のように歌詞とメロディを同時に作るアーティストもいるようです。
まとめ
今回は、「詞先と曲先のそれぞれのメリットとデメリット」について解説してきました。
楽曲を制作する方法に、「こうしなければならない」といったことはありません。
詞先であっても曲先であっても、自分が良いと思える楽曲が制作できれば、それが正解だと言えるでしょう。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、ぜひそれらを理解した上で制作してみましょう。
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