「“が”の発音が、なんだかキツく聞こえる…」
「プロっぽい発声を目指してるのに、滑舌が硬いと言われた…」
そんなお悩みをお持ちの方にぜひ知ってほしいのが、鼻濁音(びだくおん)です。
この記事では、初心者の方でもわかりやすいように、鼻濁音のしくみや今すぐできる簡単な練習方法などを丁寧にご紹介していきます。
「声がもっと自然に、やさしく聞こえるようになりたい」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
鼻濁音とは?鼻腔を使って作る柔らかい発音
鼻濁音とは、日本語の「が行」の一部を鼻に響かせて発音する、とても繊細な音のことです。
「が行」の一部が鼻に抜ける音
普段の「が」は喉から出るようなハッキリした音ですが、鼻濁音の「が」は、鼻腔を通って、ふんわりとあたたかく響くのが特徴です。
例えば、「かがやき(輝き)」という言葉を発音するとき、「が」の音を鼻から抜けるように「んが」と軽く発音する、それが鼻濁音です。
正しく出すと上品でやわらかい印象になる
鼻濁音を正しく使えるようになると、日本語の発音が一気に“上品”で“やさしい”印象になります。
アナウンサーのニュース原稿や、ナレーターのナチュラルな語りを聞いてみると、耳に心地よく、角が立たない「が行」に気づくことがあります。
ハキハキしているのに、キツくない、“プロっぽい”声を目指すなら、鼻濁音は外せないスキルです。
声優・アナウンサー・ナレーターには必須スキル
鼻濁音は、滑舌の美しさやプロらしさを左右する重要な発音技術です。
そのため、声優やアナウンサーなどの職業ではほぼ必須とされています。
また、若い方やボーカリストには必要がないと主張する声もありますが、声の幅を増やす・周りと差をつけるためにも重要なテクニックです。
演技や読み上げはしないからと避けるのではなく、表現の一つとして早めに習得しておきましょう。
簡単にできる!鼻濁音の練習方法3選

鼻濁音は、見た目にはわからない“音の質”を変える発音なので、最初はちょっとコツがいります。
でも、練習のやり方さえ知っていれば、誰でもちゃんと感覚をつかめるようになります!
ここでは、今からできる簡単な練習方法を3つご紹介します。
1.鼻から息を抜きながら発音する感覚をつかむ
まずは「が」の音を、喉からではなく鼻に抜けるように発音してみましょう。
息を“鼻に流す”ようなイメージで「が」と言うと、自然と角の取れた響きになります。
練習ポイント
- 声を出さずに「ん〜」と鼻を響かせるようにしてから、軽く「が」と言ってみる
- 喉に力を入れず、鼻の奥を震わせる感覚を意識する
- 声に丸みが出て、濁音の角が取れたような響きが出ればOK!
鏡を見ながら口の動きを確認しつつ、「鼻が通っている感じ」があればバッチリです。
2.「が行」の前に小さく「ん」を入れてみる
「鼻に抜ける感じがわからない…」という人は、試しに「が」の前に小さく「ん」を加えて発音してみましょう。
何度か繰り返すと、「が」と「んが」の響きの違いに気づけるはずです。
慣れてきたら、だんだん「ん」を意識しすぎずに「が」をやわらかく言えるようにしましょう。
ただし、あくまでこの方法は、鼻濁音の入口に慣れるための補助輪のようなものになりますので注意してください。
慣れてきたら、「ん」を抜いた状態でも鼻に抜ける発音ができるように練習していきましょう。
3.文章を読み違いを確認(例文付き)
最後は、実際の文章を読みながら、鼻濁音が使われる箇所を意識する練習です。
以下のような文を使って、鼻に抜ける「が」を練習してみましょう!
例文
- 「彼女が鏡を見ながら、東の空を見上げた。」
上記の文章で鼻濁音になるのは、「が」「鏡」「東(ひがし)」の中の「が行」部分です。
「がくせい(学生)」など、文頭にくる「が行」は通常の濁音のままでOKです。
文章を何度も音読して、“やわらかいが行”と“普通のが行”の切り替えに慣れていきましょう。
録音して聞き返してみると、客観的に違いがわかるのでおすすめです。
意外と知らない?鼻濁音のルールを解説

鼻濁音の発音そのものを練習できるようになっても、「いつ使えばいいのか分からない…」という悩みを持つ人も多いです。
ここでは、プロの現場でも活用されている基本ルールと判断のコツを、わかりやすく解説します。
単語の途中の「が行」は鼻濁音
日本語では、単語の途中にある「が行」の音を鼻濁音で発音するのが一般的なルールです。
例えば
- さがす(探す)
- およぐ(泳ぐ)
- まどがらす(窓ガラス)
「語中に出てくる“が行”」は、濁らせすぎない音として鼻濁音に置き換えると、より自然で聞き取りやすくなります。
単語の最初は「通常」の濁音
一方で、「が行」が単語の最初に出てくるときは、通常どおりの濁音(が行の強い音)で発音するのが基本です。
例えば
- がっこう(学校)
- がいこく(外国)
- がめん(画面)
これは「強調される位置」にあるため、むしろしっかりとした発音が求められるケースが一般的です。
放送や声優業界での共通ルール
テレビ・ラジオ・CM・ナレーションなど、プロの現場ではこの鼻濁音と濁音の使い分けが、発音の美しさを左右する重要ポイントとして扱われています。
以下のような現場では、“できて当然”の技術として求められます。
- テレビなどの報道・ニュース読み
- 声優養成所・ナレーションスクールの発声指導
- 企業VPや教材ナレーションなど、“聞き手の集中力”を大事にする場面
この使い分けを習得することで、あなたの発声も一段とプロに近づき、聞き手にやさしく、心地よい音声が届けられるようになります。
鼻濁音をキレイに出すためのコツ

鼻濁音は「できるようになったら終わり」ではありません。
より自然に、より響きよく出すためには、いくつかの仕上げのコツが必要です。
このパートでは、プロの現場でも実践されている3つのポイントをご紹介します!
鼻腔共鳴を意識する
鼻濁音は鼻腔を通して声を響かせることで、通りの良い音になるものでした。
そのため、「ただ鼻から息を抜く」だけでなく、“響かせる”イメージを持つことが大切です。
鼻腔共鳴を上手に使うと、滑舌がなめらかになり、声全体の印象も明るくなります。
力を入れすぎない
練習を始めたばかりの方によくあるのが、「ちゃんと出さなきゃ!」と意気込みすぎて、
喉や顔まわりに余計な力が入ってしまうパターンです。
鼻濁音は、繊細でやさしい響きが魅力なので、力を入れすぎてしまうと逆に「濁音っぽいゴツゴツした音」になってしまいます。
発声は抜く力が大事であるため、無理せず、ナチュラルに出せる位置を見つけていきましょう。
録音して「濁音」との違いをチェック
自分の鼻濁音がしっかりできているかを判断するには、実際に録音して客観的に聴いてみるのが一番確実です。
うまくできていると、鼻濁音の方が角が取れて、聞き手に優しい印象になるはずです。
少しの違いですが、それがプロっぽさの決め手になります!
まとめ|鼻濁音をマスターしてプロの発声に近づこう!

鼻濁音は、日本語ならではの繊細で美しい発音テクニックです。
声を使うお仕事を目指している方や、話し方を洗練させたい方にとっては、必ず習得しておきたい発音スキルのひとつです。
滑舌が柔らかくなる、聞く人にストレスを与えないなど、声全体の印象がグッと良くなる効果もあります。
ぜひ日々の練習の中に、今回ご紹介した鼻濁音トレーニングを取り入れてみてください!
あなたの声が、もっと自然で、もっと人に届く音に近づいていくはずです。