30代以上の人であれば、「あの曲の歌詞に勇気づけられた」「あの歌詞が自分に人生に大きな影響を与えた」といった経験があるかと思います。
しかし、現代の若者(特に25歳以下のZ世代)の場合、楽曲の歌詞はあまり意識せず「メロディー」を重要視する傾向にあります。
元々日本人は歌詞を楽曲と同じように大切にしていましたが、いったいなぜメロディー主義に変化してしまったのでしょうか?
この記事では、そんな「現代の若者が歌詞を重要視せずメロディ重視になった理由」について解説していきたいと思います。
平成までは心に刺さる歌詞を書くアーティストの評価が高かった
昭和の時代を彩った歌謡曲や演歌、平成にかけて売れたJ-POPなどでは、メロディーに合った歌詞を歌うだけではなく、歌詞全体が1つのストーリーとなっていて強烈なメッセージ性を含んでいました。
例えば平成を代表するモンスターバンドで、令和になっても売れ続けているMr.Children(通称ミスチル)は、そのキャッチャーなメロディーの魅力だけでなく「心に刺さる歌詞」が大きな魅力となっています。
「高ければ高い壁の方が 登った時気持ちいいもんな(終わりなき旅)」
「良い事があってこその笑顔じゃなくて 笑顔でいりゃ良い事あると思えたら それが良い事の序章です(PADDLE)」
「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて 気が付けばそこにある物(名もなき詩)」
これらは、おそらく何万人(何十万人?)ものファンの心に突き刺さった歌詞ではないでしょうか?
ミスチルだけでなく、平成ではスピッツやRADWIMPS、aiko、あいみょん、米津玄師、星野源、BUMPOFCHICKENなど、歌詞が心に刺さるアーティストはとても多かったのです。
彼らは令和時代でも人気を得ていますが、Z世代に刺さっているかと言うと、そうとは言い切れないでしょう。
もちろん、10代~20代のファンもいますが、30代以上のファンが多くを占めているはずです。
現代で売れているアーティストは、もっと「メロディー」に力を入れています。
「いかにキャッチャーなメロディーを作れるか」に注力していて、歌詞すらもキャッチャーさが優先されるのです。
メロディー重視になった理由
平成の楽曲は、1曲の中にもストーリーがありますが、アルバム全体を通してもストーリーがありました。
アルバムの1曲目から最後の曲を通して聴くことで、感動できるように制作されてきたわけです。
しかし、現代ではアルバムという概念がなくなり、1曲入魂の制作がされています。
サブスクリプションの登場
なぜ音楽を制作する側は「一曲入魂の価値観」に変化したのか。
その要因となったのが「サブスクリプション」です。
サブスクリプションの登場により、「タイパ」の価値観を持った人が増えました。
タイパとは、「タイムパフォーマンス」の略語で、「何事においても効率を求めること」を指しています。
サブスクリプションは、好きな曲をいつでもどこでも聴くことができ、昔のように「曲を購入する」という概念がありません。
毎月定額を支払い、聴き放題サービスを受けています。
それゆえに、アルバム全体や1曲全体どころか「サビしか聴かない人」がとても増えているのです。
主に10代~20代のZ世代の人たちがこれにあたります。
彼らは自分好みのプレイリストを作成し、次から次にスキップさせていき、サビのみを楽しんでいきます。
つまり、ストーリー性のある歌詞や心に刺さる歌詞の重要性は低く、「耳に残るキャッチャーなメロディー」が重要となったのです。
時代は繰り返される
前述した理由によって、令和という時代においては歌詞ではなく「メロディー」の重要性が高くなっています。
この流れは今後数年間は確実に続くでしょう。
しかし、音楽に限らず、「時代は繰り返されるもの」です。
10年後、15年後には再び歌詞の重要性が高まり、心に刺さる歌詞を書けるアーティストが人気となる可能性もあるでしょう。
令和時代の良い歌詞を書くアーティスト
キャッチャーなメロディーが重要視される時代ではありますが、良い歌詞を書くアーティストは絶滅していません。
ミスチルやRADWIMPS、ailkoといったアーティストは現在でもコアなファンを多く抱えていますし、その楽曲も評価されています。
そして若い世代の中にも、キャッチャーなメロディーを重要視しながらも良い歌詞をそのメロディーに乗せているアーティストが存在しています。
Official髭男dismや藤井風、優里、緑黄色社会、Vaundyなどは、現代では希少な歌詞も需要視するアーティストであると言えるでしょう。
まとめ
今回は、「現代の若者が歌詞を重要視せずメロディー重視になった理由」について解説してきました。
サブスク全盛期の現代では、好きな曲の好きなサビだけを聴くようなタイパを重要視する若者が増えていることで、メロディー重視の時代となったのです。
「普段からサビしか聴かない」という人は、ぜひ一度歌詞の評判が良いアーティストの楽曲をじっくりと歌詞を見ながら聴いてみてはいかがでしょうか?
新たな感動を感じられるかもしれませんよ。
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