ナレーションと聞くと、テレビ・ラジオ・ネット動画で耳にする“才能のあるプロが出す声”を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実は、ナレーションには特別な才能は必要なく、正しい練習法と意識によって誰でも身につけられます。
この記事では、プロのナレーターが実際に意識しているナレーションのコツや、初心者でも1人で取り組める具体的な練習方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!
ナレーションのプロと素人、その違いとは?
最初にプロと素人の違いを理解すると、ナレーションの上達が一段と早くなります。
ポイントを押さえて解説しますので、参考にしてみてください。
セリフではなく「情報を伝える声」がナレーション
ナレーションとセリフ読みは、似ているようで役割がまったく異なります。
セリフは“感情”を伝えるのが目的ですが、ナレーションは“情報”を正しく伝えることが求められます。
感情を排除する必要はありませんが、主役はあくまで伝える内容であり、ナレーター自身ではないという意識が大切です。
正確さ・聞き取りやすさ・落ち着きが重視される
ナレーションで最も大切にされるのは、「正確で・聞き取りやすく・落ち着いた」話し方です。
情報を誤って伝えてしまったり、滑舌が悪くて聞き取りにくかったりすると、聞き手はすぐに内容から離れてしまいます。
伝える気持ちを何よりも優先する姿勢が、ナレーションの質を大きく左右します。
プロは”抑揚の使い方”が上手い
抑揚とは、声の高低や強弱をコントロールするテクニックです。
プロのナレーターは、この抑揚を絶妙に使い分けて、聞き手が自然と内容に集中できるよう誘導しています。
例えば、重要なキーワードの前にわずかに間を置いたり、語尾を少しだけ落として印象を残すなど、声の“波”を丁寧に設計しています。
プロのナレーターが実践する5つのコツ

プロのナレーターになるコツは、細部にまで気を配る基本の徹底にあります。
ここからは、実際にナレーターの現場でも使われている「即効果が出やすい5つのコツ」をご紹介します。
1.発声よりも”滑舌”と”間”が命
ナレーションでは、通る声よりも「滑舌の明瞭さ」と「間の取り方」が仕上がりを左右します。
いくら声が大きくても、言葉が聞き取れなければ意味が伝わりませんし、急ぎすぎて間がなければ情報が流れてしまいます。
プロは、文章の「どこを区切るか」「どこで少し止まるか」を意識しながら、読み方を設計します。
2.句読点をしっかり意識する
原稿の「、」や「。」は、ナレーションにおける呼吸の合図です。
プロはこの句読点を基準にして、自然な間合いとテンポをコントロールしています。
例えば、「、」のところでほんの少し息を整え、「。」のあとは一拍置いて、聞き手に内容を整理してもらいます。
やりがちなのが、句読点を無視して読んでしまうミスなので、その意味を声で表現する意識を持ちましょう。
3.強調ポイントを事前にマーキングする
プロのナレーターは、原稿を「ただ読む」のではなく、どこを強く伝えるかをあらかじめ決めています。
そのため、読み始める前に原稿を下読みして、「ここは強調」「ここはやわらかく」といった印をつけます。
このマーキング作業があるだけで、読み方にメリハリが生まれ、情報が伝わりやすくなるんです。
初心者は、「全部均等に読む」傾向があるため、抑揚や強弱の計画を可視化しておくのが効果的になります。
4.聞き取りやすい“テンポ”で話す
プロは自分の声のテンポを客観的に把握しており、聞き手が心地よく聞けるスピードで話すよう心がけています。
コツは、「自分では少しゆっくりめ」と感じる程度のスピードで話すことです。
説明的な内容や専門用語が含まれるナレーションでは、“ゆっくり+はっきり”が基本になります。
5.感情を入れすぎず「フラット」に伝える
ナレーションはドラマや演劇とは違い、感情を大きく表現する必要はありません。
むしろ、情報を正確に・過不足なく届けるために「フラットな読み方」が求められます。
感情を入れすぎると、内容よりも“演技”が目立ってしまい、聞き手の注意が散ってしまうでしょう。
もちろん、無機質すぎるのも良くないため、「落ち着いた優しさ」や「自然な温度感」を意識すると、聞き手にちょうどよく届きます。
ナレーション力を高める1人でできる練習法

ナレーションの技術は、日々の積み重ねで、1人でも着実に伸ばせます。
次は、自宅でも簡単に取り組めるおすすめの練習法を3つご紹介しますので、ナレーターになるためにも実践してみてください!
新聞やネット記事の音読
日々の練習としておすすめなのが、新聞やニュースサイトなどのナレーション原稿に近い記事の音読です。
文字情報を声に出して読むと、発音・滑舌・テンポ感の調整が自然と身につきます。
声に出すときは「句読点で止まる」「主語・述語を意識する」など、ナレーションの基本ポイントを意識してみてください。
発音・滑舌の基礎トレーニング
どれだけ内容が正しくても、聞き取りづらい声ではナレーションの意味が半減してしまいます。
そのため、毎日の滑舌トレーニングはとても大切です。
具体的には
- 50音をゆっくりはっきり発音する
- 早口言葉をゆっくり丁寧に発音する(例:「外郎売(ういろううり)」)
- 「ら行」「さ行」など、言いづらい行を重点的に練習する
これらのトレーニングは、声の芯や口の動きを整える効果もあります。
毎日3分でも続ければ、聞き取りやすさがぐっと向上していきますよ。
無音環境で録音→自己フィードバック
ナレーションの上達において、「自分の声を客観的に聞くこと」は欠かせません。
静かな場所でスマホやICレコーダーを使い、音読の様子を録音してみましょう。
録音したら、以下のポイントに注目して再生してみてください。
- 発音ははっきりしているか
- 早口やモゴモゴした箇所はないか
- 聞き手が疲れないテンポになっているか
最初は恥ずかしさがあるかもしれませんが、客観的に自分のクセを知ると上達の近道になります。
録音→改善→録音を繰り返せば、確実に“プロっぽい声”に近づいていくでしょう。
初心者がやりがちなNG例と改善ポイント

ナレーションに初めて挑戦すると、どうしても個人特有の“クセ”や“ミス”が出てしまいがちです。
ここからは、初心者にありがちなNGパターンと、それを解決するための具体的な改善ポイントを紹介します。
一文を速く読みすぎる
初心者が最もやってしまいやすいのが、「最後まで読み切ろう」として、息継ぎもせずに一気に読んでしまうことです。
その結果、早口になり、内容が聞き手の頭に残りにくくなってしまいます。
改善するには、「無理に読み切ろうとせず、句読点ごとに一呼吸置く」を意識しましょう。
感情を入れすぎて内容が聞こえない
多少の感情表現は大切ですが、過剰になりすぎると逆効果です。
ナレーションでは、「感情は声に滲ませる」くらいがちょうどいいです。
まずは“落ち着いて・整った声”を出せるようになってから、必要な箇所にだけ感情の温度を乗せるようにしましょう。
聞き手を意識していない
聞き手の存在を忘れてしまうのも初心者にありがちな傾向です。
読むことに必死になるあまり、発音が甘くなったり、抑揚が不自然になったりします。
ナレーションは「聞いてもらうこと」が前提のスキルです。
「この情報を誰に届けたいのか?」を具体的にイメージして読む練習をして、自然とリズムや表情を整えていきましょう。
緊張で声が上ずる・滑舌が甘くなる
ナレーション原稿を読むとき、思ったよりも緊張するものです。
本番になると、声が上ずったり、口が思うように回らず滑舌が悪くなってしまうでしょう。
これは「準備不足」と「呼吸の浅さ」が原因です。
改善するには、ゆっくり深く腹式呼吸を行い、声を“下から支える”ように発声する意識を持つと良いです。
また、事前にウォーミングアップとして早口言葉や口周りのストレッチを取り入れると、口の動きがスムーズになります。
まとめ|ナレーションは“伝える姿勢”と“技術”の積み重ねが肝心

ナレーションの技術は、声の質や才能だけで決まるものではありません。
大切なのは、「誰に・何を・どう伝えるか」を常に意識しながら、聞き手の立場に立って話すことです。
まずは、今日ご紹介した「音読・滑舌練習・録音チェック」などの1人でもできる練習から始めてみましょう。
繰り返すうちに、自分の声に自信が持てるようになり、伝わる力がどんどん育っていきますよ!